こじんまり、と。

ミニマリストを目指しつつ いただきもので繋がる こじんまり生活の記録

【いただきもの生活72】おいちゃんの椿

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ピンポーン

と鳴って、インターホンの画面を見ると、そこには、ご近所の奥さんが映っていた。

回覧板かな、と思いつつ出ると、

「こんにちは、〇〇さん。あのちょっと、お願いがあって。」となんだか、もじもじしている。

 

そういえば、数週間前にも同じようなことがあった。ピンポーンと鳴ったが、私はちょうどトイレにいて、すぐには出れず、身繕いをして出てみたら、歩き去るご近所さん。ピンポンしてくれたのあの方かしらと思いつつ、声をかけられずにいた。

どうやらまた来てくれたようだ。

 

こんにちは、と出て行くと、

「あのね、おいちゃん(ご主人のこと)が、挿し木で増やした椿があるんだけど、〇〇さん、お花好きみたいだから、貰ってくれない?」という。

何でもいただく、欲張りな私は、ええ、いただけるものならと、奥さんの後について歩いた。

 

「これなんだけど。」と、指された花壇は、私が前を通るたびに、上手に育てておられるなあと感心していた場所だった。

いろんな大きさの鉢に、膝丈だったり、腰丈だったりの椿の木が植っていて、それぞれ蕾を付けて、花を咲かせている。

「これは、侘助。赤い花。こっちのは、白。どれでもいいから、欲しいだけもらって。」と奥さんは言う。

「これは、白に赤がすっと入るの。神様が赤くしたりしてるの。どれがどんなふうになるのかは、わからないのよ。」

 

優しく生きているんだろうなあ、この奥さん。なんて思いつつ、結局、勧められるままに、いろんな種類の椿の木をいただいてしまった。

 

奥さんは知っているのだろうか、私が植物枯らすマンであることを。

あの岡さんも、そしてたぶんおいちゃんも、椿が毎年咲くことを応援してくれていると思う。そう思うと、この木がある限り、私の家は幸せに包まれる気がした。